『ジョルジ・フッチボール・クルーヴィー』電子パンフ P.1 南慎介による「まえがき」

ブラジルは大きな矛盾をはらんでいます。

世界で第4位の食料自給率を誇る国でありながら、餓死者が世界で10番目に多いこと。

カリオカ(リオっ子)の4人に一人はスラムに住んでいると言われており、貧富の差はあまりにも大きいものがあります。

世界で最も犯罪率が高いと言われているブラジルのスラム、ファヴェーラに住む人々が今回の主人公です。

彼らは低い教育水準、整っていないインフラ、凶悪な犯罪、偏見、そして法からの不平等とあらゆる戦いを生まれながらにしていかなければなりません。

しかし、その上で彼らは限りなく陽気でもあります。

ブラジルの海、空はどこまでも美しく、貧しさも偏見もあるが、一方でブラジルは近隣諸国の中では最も人種差別が少ないと言われており、完全白人主義社会のアルゼンチンなどとは大きく異なっています。

ノワールと言うには余りに明るく陽気で、コメディにはできないほど簡単に人が死んでいく。

この物語ではそんな天国と地獄が背中あわせにある国、ブラジルの最も人間性がむき出しになる場所、スラムで生きる人の強さ、そしてそんな強さをも打ち破ってしまう貧しさとはなんなのでしょうか。

そして、この物語はまたフッチボール(フットボール、あるいはサッカー)の物語でもあります。

ブラジルにとってフッチボール(フットボール、あるいはサッカー)は特別なスポーツです。

娯楽であり、生活であり、夢であり、目標であり、貧困から抜け出す手段です。

この「事実をもとにしたフィクション」であなたにブラジルの空が見えますように。

南慎介

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