【外部脚本】feblabo×シアターミラクルプロデュース『桜の森の満開のあとで』ご来場ありがとうございました(作品をご覧になった方向けの作家としての御礼をこめて)

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(※写真はhocotenちゃんにお借りしました。さんきゅ)

feblabo×シアターミラクルプロデュース『桜の森の満開のあとで』無事終演致しました。
興味を持ってくださった方、ご来場くださった方、俳優スタッフ各位有難うございました。

この公演のきっかけを探そうと思ってログをあさっていたら、4月にプロデューサーの池田智哉(feblabo) 氏が「少人数で一時間くらいの面白い戯曲ないですかね?」とつぶやいたのに、僕がレスしたのが始まりでした。ミユキの台詞じゃないですが、「人生、先のことはわからない」ものですね。

それから僕はこの作品に至るまで作演1本、演出1本、潤色1本を経ているので、その間に様々なやりとり(プロット出したりとか精査したりとか、選別したりとか)がありましてこの『桜の森の満開のあとで』という作品になったわけですが、その間に、まあ様々な紆余曲折がありました。

私的な体験を戯曲にするタイプの作家さんは当初のプロットから実際の作品が大きく異なる場合もあると聞きます。が、私の場合プロット組を割としっかり組んでテーマもぶれないタイプというか、良くも悪くも図面を引くタイプの作家なので、そうそうぐるぐるしたりはしないものなんです(書けないで悶絶はあるけど)。

しかし、今回はいろいろな事情でくるくる作品が回った稀有な制作過程を経て皆様にお目見えとなりました。元々はモックではなく、「連合会議」そのものをやるつもりでしたし、その場合配役の平均年齢はプラス10歳くらいになっていた、はず。結果的にMinami Produceでテストしたメタ世界とTRPGスキルをふんだんに使った作品となりました。

ここでは少しだけ、劇作構成上のネタばらしやら伏線やら、いわゆる「副音声」的なお話をさせていただこうと思っています。

①舞台について

北陸州石川県安宅市。これは地図の形を見ていただければ一目瞭然ですが、石川県小松市をモデルにしています。もう少し名前を捻ろうかとも考えましたが、より現実に寄せるコンセプトから、土地勘のある方なら初耳でもわかる程度のフィクションにしてあります。ちなみに、現実にも安宅の関は存在し、歌舞伎『勧進帳』の舞台となったのも事実です。つまり、労組が所属しているアタカ重工業=コマツ重工業というわけですね。ひとつ違うところと言えば、現実の小松市には空港があるのですが、防衛省管轄のため、国家レベルのステークホルダーを総電以外に登場させたくない、という理由で存在しないことになっています。

②モック試験について

モックカンファレンス(模擬試験)というのは前述の通りTRPGの要素を使い、極めてロールプレイに近い形式をとっています。この試験は完全に僕の想像ですが、ひとつだけモチーフがあります。議論の場に外部から突然現れて300億を放り投げたり、「全員賛成に手をあげろ」などと、議論自体の破壊をして回る先生(タケカワ=池田智哉(feblabo))には映画『ラスト・ワールド』のジェームズ・ダーシー演じる「教官」をリスペクトしています。考えてみれば、『ラスト・ワールド』も思考実験の話でした。

③リスペクト

先ほどの映画以外にも、偉大なる先人たちを数多くリスペクトしています。「会議が停滞した時に、これ以上賛同者が増えなければ全員一致」、「極度に興奮した強者が本当に小さな揚げ足をとられることで議論の流れが変わる」、そもそも会議の人数。または、「白紙をあたかも物が書いてあるかのように読む」他にもたくさんあるので、もし気づいたら教えてください。

などと、つらつらと書いていましたが、相変わらず盛り込みすぎの癖はなおっていませんね。
今回、実は純粋に会議だけの作品というのを初めて書かせていただいたのですが、心底「会議ものってスポーツだわ」と思っています。限られた手数の中、ルールに則って最善の答えを出す。やればやるほど次の課題が明確に見え、のり越えないと見えない景色が広がっている。調子や出来不出来の差が激しく、お客さんにもそれが見えやすい。実に得難い体験でした。

戦い抜いてくれた若手俳優各位に感謝。
またどこかで会いましょう。必ず。
献身的に働いてくれた助手の遠藤くん、ミラクルスタッフに、そして何よりこの場所に立たせてくれたプロデューサー池田智哉氏に深く感謝。

プロデューサーの池田智哉氏とは今はなき青山小劇場という小劇場演劇支援機構の同僚でして、1年半ほど一緒に仕事をしていました。その後、私は作・演出に専念し、彼はシアターミラクルの支配人になり、と道はわかれたもののこのような形で一緒に仕事ができるのは本当に嬉しい機会でした。

若手ばっかりだったのに魂使うほど削れる脚本書いてしまってごめんなさい。そして、改訂稿が遅筆ですみませんでした。
feblaboプロデュースの中でもわりと異色な作品だったのかな、ホテルミラクル見てるとそう感じることもあります。

つまらなかったのであればすみません。でもいい作品でした。
次も頑張ります。
それでは、またどこかで。

南慎介