墨を塗りつつ 春風を聴く(現代作家シリーズ9「日本国憲法」を上演する 出展作品『墨を塗りつつ』をご覧になった方への南慎介からの御礼とご挨拶)

現代作家シリーズ9「日本国憲法」を上演する 出展作品『墨を塗りつつ』全日程を終了いたしました。俳優、スタッフ関係者の皆様、同時上演のノアノオモチャバコの皆様、企画のdie pratzeの皆様、ご来場いただきました全てのお客様に御礼申し上げます。



 

今回、日本国憲法というテーマをもらって、最初に決めたのは真っ向勝負でやろうということでした。こういうショーケース、Ammoとしては日本の作品を単独で出すのは初めてなのだし、フェスだし、色々考えてもしょうがない。できるだけ格好をつけず。しかし、難しかった。本当に難しい内容でした。

アフタートークで話したことと重複してしまう内容もあると思うのですが、憲法をテーマに取り組んでみて、痛感したのは憲法と私たちの生活の距離でした。

遠い、ものすごく遠いところにある。もともと、僕には「憲法は私たちの生活の一番そこにある基盤みたいなもの」という感覚がありました。そして、それは実際には間違っていなかった。ですが、私たちの生活はあまりに多くのものが積み重なっていて、意識的であるものはほんの一部で、無意識であるものや、そもそも知りもしないシステムが積み重なっていて、僕らの生活からの距離があまりに大きい。

「国民の生活」といった政治用語で美化、あるいは抽象化されるものとは違うのです。食べ、寝て、誰かを愛したり、セックスしたりと言った、つまり演劇が人間を描く芸術であるとしたら「演劇そのもの」からすごく遠いのです。これには頭を抱えました。どうやってこれを演劇にするのか。

 

 

結果、ご覧になっていただいた通り一番シンプルな方法を選びました。

政治家、でもド野党の現実をうまく見れない政党が必死に考える話、それが生活につながる話でした。怒られちゃうかもだし、実際専門家からの指摘は入ったし、でもまあ、それでいいです。それがAmmoのスタイルだから。

 

 

終盤、信子が言っていたことが全てです。
「朝飯は人生だ」

もし、見て面白くなかったならすみません。でも、僕たちは面白かったと思います。前園あかり、津田修平、伊澤玲、谷仲恵輔、山崎丸光、松葉祥子、井上実莉、そして山森信太郎。このチームを誇りに思います。

次も頑張ります。Ammoは秋に新作「調和と服毒」です。
また、お会いできることを祈って。

南慎介