Ammo vol.5「ノスタルギヤ」

vol.1「Lucifer」改題

脚本・演出:南慎介

2018年2月7日~12日
@日暮里d-倉庫

アフタートーク 司会:石井舞

2/7 宇都宮徹壱氏(写真家・ノンフィクションライター。2009年ミズノスポーツライター賞、2017年サッカー本大賞受賞) 
2/8 千田善氏(国際政治学者。元サッカー日本代表監督イビツァ・オシム氏通訳)

誰もが彼のプレイに夢中だった。
シルクのように滑らかなボールタッチ、一度ボールを持ったら離さないドリブルは悪魔的でさえあった。 敵も、味方でさえも彼に魅了された。将来を嘱望された選手だった。
イリヤ・ペトロヴィッチ。彼は、ある日突然消えた。

ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦の終結から十年後、私はトヨタカップで来日するシーナ・アクシシャヤを迎えに成田空港に車を走らせていた。あの、”やせっぽちシーナ”が今や代表のエースだというのだから、時間はあまりにも早く、未来は全く予想がつかない。

私は、彼と話すべきことがあった。あの日の、イリヤ・ペトロヴィッチと、彼を鼓舞するビリヤシュのサポーターの声と、そして私を含むあらゆる人達の傲慢についてだ。

「同じ歌を歌って応援しているとき、俺達は仲間だって思えるんです。将来への不安とか、そりゃ、ありますけど、ここに来てビリヤシュへの愛を叫んでいれば哀しいことも辛いことも全部吹き飛んでしまいます」

デヤン・ザデディッチの陳述

さあ 行こうぜ 俺達のイリヤ ラララララ 俺とともに
さあ 行こうぜ 俺達のシーナ ラララララ 君のために

Luciferメインテーマ「イリヤとシーナ」

イリヤ さあ行こうぜ 俺達を揺らせ
イリヤ さあ輝け 俺達の誇り

イリヤのチャント

セルビア人
イリヤサッカー選手津田修平(Ammo)
ソニアイリヤの姉宍戸香那恵
スロボダンサッカーコーチ坂井宏充(演劇ユニットハイブリッド)
ルナ右傾化していく大学生木原実優
カタリナイリヤとソニアの身元引受人滝澤多江(さいたまゴールドシアター)
デヤンFKビリヤシュのサポーター海田眞佑(劇団ウミダ)
クロアチア人
ハナプラーヴァのウェイトレス広野未奈
アレンハナの兄。民族主義者山崎丸光
ムスリム人
シーナサッカー選手荒川ユリエル(拘束ピエロ)
エディン民兵上がりのムスリム軍人浅倉洋介
ダミールFKビリヤシュのコールリーダーワンデー櫟原(DACTparty)
ヤスミラダミールの妻加順遥
ファティマデザイナーに憧れる女土佐まりな
ロマ(ジプシー)
エスマピッツェリア・プラーヴァの女店主前園あかり(Ammo)
日本人
酒井カメラマン、フリーライター谷仲恵輔(JACROW)

脚本・演出:南慎介(Ammo) 
舞台監督:吉倉優喜 舞台美術:中村友(友工房/Yʼs factory) 音響効果:北島とわ 照明:阿部将之(LICHT-ER) 衣装:花村雅子(えうれか) 制作:あおきいおり(劇団KⅢ)
ドラマターグ:田中圭介 演出助手:崎濱祥子 福澤くるみ(劇団AceAndJoker) 銃器指導:阪上善樹  デザイン:南裕子(milieu design)web管理:堀口節子 記録映像:川本啓 記録写真:Cʼs naoki

取材協力(敬称略):宇都宮徹壱/千田善/中村慎太郎

本州と四国を合わせた程度の面積しかない旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国は、その崩壊の過程と共に民族浄化、NATO空爆が吹き荒れたヨーロッパ最大の政治的危機に陥った国であった。「ヨーロッパの火薬庫」とも呼ばれ、昨日までの隣人同士が殺し合いを始めたショッキングなニュースは未だに記憶に新しい。
そしてまた、旧ユーゴスラビアの諸国は、キラ星のごときフットボーラーを生み出した、90年代「幻のサッカー王国」でもある。デヤン・サビチェビッチ、プレドラグ・ミヤトビッチ、ズボニミール・ボバン、ダボル・シュケル、そして何よりドラガン・ストイコビッチ。しかし、彼らの多くは自分のキャリアのピークを戦争で不本意に傷つけられています。

彼らが順調にキャリアを伸ばすにつれ、戦争の影は濃く、彼らの足元にまで伸びて行きます。彼らの選択によって、同じクラブ、同じようなキャリアを歩んで来た選手達の未来は残酷にも枝分かれして行き、本来政治とは切り離されるべきスポーツの分野において、消えてしまった名もなき選手達がたくさんいます。

本作品は【日本人ジャーナリストから見た、郊外の街で育った人種の違う二人の少年フットボーラーの定点観測】です。

2014年に初演、ユーゴスラヴィア関係者から絶賛を受けた公演を再び上演いたします。

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