
Story
ブラジル・ファヴェーラ・フッチボール 彼女たちの戦い
ジョルナル・ド・ブラジゥの記者マリアは最近相次いでいる”警官殺し”の取材のため、リオデジャネイロのファヴェーラ(スラム)の前に立っていた。
ドラッグと銃、犯罪の温床、無秩序が秩序の仮面をかぶる灰色の街。マリアは心底ファヴェーラを毛嫌いしていた。しかし取材を進めるにつれ、あるサッカークラブがうかびあがってくる。
「ジョルジ・フッチボール・クルーヴィー」10年ほど前にごく短い期間存在していた、日系人がスラム福祉のために設立したサッカークラブ。マリアはこのアマチュアクラブにスラム出身のスーパースター、アレックス・フェチースが籍を置いていたことをつきとめる。なぜ将来有望な選手がこんな小さなクラブに?その小さな疑問が10年前の、そして今も解決していない事件の鍵となることにまだマリアは気づいていなかった。
2016年1月8日〜1月11日
アフタートーク
1/8(金) 中村慎太郎氏(作家。著書「サポーターをめぐる冒険」にてサッカー本大賞2015を受賞)
1/9(土) 千田善氏(翻訳家、国際政治学者。イビツァ・オシム元サッカー日本代表監督通訳)
Cast
前園あかり
石塚みづき
木原実優
中村真沙海
霧島ロック(ここかしこの風)
楓朋美
藤田雄気
斉藤太一(kanikuso)
安田徳
菅山望
津田修平
田村往子
鈴木啓司(リジッター企画)
岸本武享(劇想からまわりえっちゃん)
桑原勝行(劇団桟敷童子)
西川康太郎(ゲキバカ/おしゃれ紳士)
Staff
脚本・演出:南慎介(Ammo/Minami Produce)
舞台監督:高山和也(THE BIG FOOT STAGE)
舞台美術:照井旅詩 音響効果:北島とわ(ミ世六メ)照明:阿部将之(LICHT-ER)
AP:山邉健介(レゴプラ)演出助手:海野広雄(オフィス桜華)
イラストレーション:桐村理恵
制作:吉水恭子(芝居屋風雷紡) デザイン/web管理:堀口節子
協力
ゲキバカ、劇団桟敷童子、劇想からまわりえっちゃん、リジッター企画、kanikuso、ここかしこの風、豪勢堂GLove、ピヨピヨレボリューション、Production MAP、おしゃれ紳士THE BIG FOOT STAGE、ミ世六メ、LICHT-ER、オフィス桜華にしすがも創造舎、演劇フリースペースサブテレニアン、Corich!舞台芸術
Introduction
ブラジルは大きな矛盾をはらんでいる。
「世界で第4位の食料自給率を誇る国でありながら、餓死者が世界で10番目に多い」こと。
カリオカ(リオっ子)の4人に一人はスラムに住んでいると言われている。貧富の差はあまりにも大きい。
世界で最も犯罪率が高いと言われているブラジルのスラム、ファヴェーラに住む人々が今回の主人公となる。彼らは低い教育水準、整っていないインフラ、凶悪な犯罪、偏見、そして法からの不平等とあらゆる戦いを生まれながらにしていかなければならない。
しかし、その上で彼らは限りなく陽気である。ブラジルの海、空はどこまでも美しい。貧しさも偏見もあるが、一方でブラジルは近隣諸国の中では最も人種差別が少ないと言われており、完全白人主義社会のアルゼンチンなどとは大きく異なっている。
ノワールと言うには余りに明るく陽気で、コメディにはできないほど簡単に人が死んでいく。
この物語ではそんな天国と地獄が背中あわせにある国、ブラジルの最も人間性がむき出しになる場所、スラムで生きる人の強さ、そしてそんな強さをも打ち破ってしまう「貧しさとはなんなのか?」ということを探る作品となる。
前作、『Lucifer』でボスニア・ヘルツェゴビナ内戦と戦火に消えた天才サッカー少年のクロニクルを描き、サッカー関係者から激賞されたAmmoがファヴェーラを舞台にサーガを描く。