【調和と服毒】劇中に登場するルネサンスの絵画たち

本作にはルネサンス期を華やかに彩る様々な絵画が登場します。今回はこちらのご紹介です!

また、今回は軽いネタバレがございますので、ネタバレがお嫌いなかたはブラウザバックをお願いします。

ラファエロの作品

=アテナイの学堂=
ヴァチカン宮殿4階、署名の間に描かれた絵画。
プラトン、アリストテレス、ピタゴラス、アルキメデスら古代ギリシアの聖人たちが仮想の学堂に集っているラファエロの最高傑作。
大胆で優美かつ古代ギリシア哲学の歴史を盛り込んだ構図と、実在の人物(ラファエロ本人や、ミケランジェロ、レオナルド、師であるペルジーノ)が登場する遊び心も素晴らしい。

サイゼ○アでよく見る。

=ガラテアの勝利(右側)=
ラファエロが銀行家、アゴスティーノ ・キージの別荘に書いたフレスコ画。海の妖精ガラテアが優美に体をひねる上空では愛の天使が弓を引き絞っている。その左側にはセバスティアーノ作の『ポリュフェモス』。天使たちが放った矢は一つ目の巨人を貫いたのだろうか。

余談ですが、天使に心を射抜かれるっていうのはこんな昔からある表現なんですね。


=聖ペテロの解放=
ラファエロがヴァチカン宮殿4階、ヘリオドロスの間に描いたフレスコ画。牢獄に捕らえられたイエスの一番弟子ペテロが大天使の奇跡で脱獄した故事をもとにしている。
絵全体を柱でゆるやかに区切り、同じ登場人物が複数回登場することによって時間の経過を表現している。

今でいうと、3コマ漫画です。

 

 

ラファエロ以外の作品

=セバスティアーノ作『ポリュフェモス』=
ヴェネツィアで評判の画家セバスティアーノによって、キージの別荘に描かれたフレスコ画。当時ローマ随一の画家ラファエロと競うように描かれた。一つ目の巨人ポリュフェモスが見渡す先にはラファエロ作『ガラテア』があり、愛の矢によって射抜かれたポリュフェモスが恋に落ちた様子がヴェネツィア風の鮮やかな色彩で表現されている。

正直どこが一つ目なのかあんまりわからない。

=レオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』=
言わずと知れたレオナルド・ダ・ヴィンチの代表作。ナザレのイエスと弟子たちが描かれている。名画には間違い無いのだが、一部はフレスコ画(石灰)、一部はテンペラ画(卵の黄身)でできており、レオナルドのありあまる探究心が絵自体の耐久性を大きく下げてしまった。

この絵に関しては、頭の位置が楽譜になってるとか、謎のV字があるとか俗説がたくさんありますが、全部眉唾らしいですよ。

=ミケランジェロ(デッサン)セバスティアーノ(彩色)
 『ヴィテルボのピエタ』=
当時ローマで一番の名声を獲得していたラファエロの鼻を明かすために、ミケランジェロがキージ邸の勝負に敗れたセバスティアーノと共作した。彫刻家出身の豪胆なデッサンを誇るミケランジェロとヴェネツィアの鮮やかな色彩のコラボレーションは大変な話題を呼んだ。
また、この頃「素描(デッサン)と彩色(色付け)ではどちらが重要か」「彫刻と絵画ではどちらが優れているか」と言った美術議論に答えをだした作品としても胸が熱い。デッサンでは夜を描けず、彫刻では夜の表現はできない。しかし、聖書に夜と明確に描かれているシーンは数多くある(例:聖ペテロの解放)。

実際は、今観ると聖母マリアがあまりにゴツすぎて(ミケランジェロの筋肉万歳主義のせい)ちょっとピンとこない。