Ammo vol.2 ジョルジ・フッチボール・クルーヴィー

脚本・演出:南慎介

2016年1月8日~1月11日

@日暮里d-倉庫

アフタートーク

1/8(金) 中村慎太郎氏(作家。著書「サポーターをめぐる冒険」にてサッカー本大賞2015を受賞)

1/9(土) 千田善氏(翻訳家、国際政治学者。イビツァ・オシム元サッカー日本代表監督通訳)

ブラジル・ファヴェーラ・フッチボール 彼女たちの戦い

ジョルナル・ド・ブラジゥの記者マリアは最近相次いでいる”警官殺し”の取材のため、リオデジャネイロのファヴェーラ(スラム)の前に立っていた。

ドラッグと銃、犯罪の温床、無秩序が秩序の仮面をかぶる灰色の街。マリアは心底ファヴェーラを毛嫌いしていた。しかし取材を進めるにつれ、あるサッカークラブがうかびあがってくる。

「ジョルジ・フッチボール・クルーヴィー」10年ほど前にごく短い期間存在していた、日系人がスラム福祉のために設立したサッカークラブ。マリアはこのアマチュアクラブにスラム出身のスーパースター、アレックス・フェチースが籍を置いていたことをつきとめる。なぜ将来有望な選手がこんな小さなクラブに?その小さな疑問が10年前の、そして今も解決していない事件の鍵となることにまだマリアは気づいていなかった。

——「才能がないやつに夢を見させるのは、俺にとって罪だ」

サッカーコーチ、ジョルジ・タカミネの言葉。

——「あの頃の僕には想像もつかない金額だ。カミラとズレージに何足スニーカーを買ってあげられるでしょう」

アレックス・フェチースがマリア・ブラガのインタビューにこたえて。

——「あたしたちは、必ず、このスラムを抜け出そう。海岸へ行くんだ」

スラムの少女、カミラの言葉。

カミラ スラムの少女石塚みづき
ズレージスラムの少女木原実優
マリアスラムの女ギャング前園あかり
ジョルジスラムのフッチボール監督桑原勝行(劇団桟敷童子)
アレックスフッチボール選手津田修平
バイシーニョフッチボール選手菅山望
カベソンフッチボール選手岸本武享(劇想からまわりえっちゃん)
アンドレッサスラムの女中村真沙海
ブルーナスラムの教師田村往子
ゼ・ロベルトギャングのボス斉藤太一(kanikuso)
コルージャギャング藤田雄気
パウラーダギャング鈴木啓司(リジッター企画)
リンダアップタウンの少女楓朋美
エスケルディーニャ”死の部隊”の警察官西川康太郎(ゲキバカ/おしゃれ紳士)
マリア新聞記者前園あかり
フェルナンド新聞記者安田徳
マルセロ新聞記者霧島ロック(ここかしこの風)

脚本・演出:南慎介(Ammo/Minami Produce)

舞台監督:高山和也(THE BIG FOOT STAGE)

舞台美術:照井旅詩 音響効果:北島とわ(ミ世六メ)照明:阿部将之(LICHT-ER)

AP:山邉健介(レゴプラ)演出助手:海野広雄(オフィス桜華)

イラストレーション:桐村理恵

制作:吉水恭子(芝居屋風雷紡) デザイン/web管理:堀口節子

ブラジルは大きな矛盾をはらんでいる。

「世界で第4位の食料自給率を誇る国でありながら、餓死者が世界で10番目に多い」こと。

カリオカ(リオっ子)の4人に1人はスラムに住んでいると言われている。貧富の差はあまりにも大きい。

世界で最も犯罪率が高いと言われているブラジルのスラム、ファヴェーラに住む人々が今回の主人公となる。彼らは低い教育水準、整っていないインフラ、凶悪な犯罪、偏見、そして法からの不平等とあらゆる戦いを生まれながらにしていかなければならない。

しかし、その上で彼らは限りなく陽気である。ブラジルの海、空はどこまでも美しい。貧しさも偏見もあるが、一方でブラジルは近隣諸国の中では最も人種差別が少ないと言われており、完全白人主義社会のアルゼンチンなどとは大きく異なっている。

ノワールと言うには余りに明るく陽気で、コメディにはできないほど簡単に人が死んでいく。

この物語ではそんな天国と地獄が背中あわせにある国、ブラジルの最も人間性がむき出しになる場所、スラムで生きる人の強さ、そしてそんな強さをも打ち破ってしまう「貧しさとはなんなのか?」ということを探る作品となる。

前作、『Lucifer』でボスニア・ヘルツェゴビナ内戦と戦火に消えた天才サッカー少年のクロニクルを描き、サッカー関係者から激賞されたAmmoがファヴェーラを舞台にサーガを描く。

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